労働審判対応のポイント

なぜ、申立人は、労働審判を選択したのか?の分析

(元)従業員は、労働トラブルを強制的に解決する手段として、次のような選択権を持っています。

【(元)従業員の選択肢】
①仮処分
②訴訟
③労働審判

そうすると、使用者側が考えるべき最初のスタートは、

「なぜ、申立人は、労働審判を選択したのだろうか?」

という点になります。

解雇案件の場合(仮処分との比較)

一般的な傾向として、

仮処分は、次のような場合に利用されます。

・元従業員の意思として、「職場復帰」を強く求めている
・退職を前提とした金銭解決は、視野にない
・今すぐにでも、賃金の仮払いを受けたい
・すぐに解決したい

このことから考えると、(元)従業員が「仮処分ではなく」労働審判を選択したということは、「退職を前提とした金銭解決」も一定程度視野に入れている、と見るのが合理的です。

♯従来、解雇案件の7割~8割は、仮処分が利用されていましたが、労働審判制度がスタートしてから、その利用は減りました。

解雇案件の場合(訴訟との比較)

訴訟手続は、やはり、時間がかかります。1審と2審と合わせると、1年~2年はかかると思います。
また、弁護士費用も、一定程度支払う必要があります。

そうすると、(元)従業員が、「訴訟ではなく」労働審判を選択したということは、「早期解決」を望んでいると考えるべきです。

弁護士の選任の有無と選び方

弁護士を選任するか否か

結論から言うと、弁護士の選任は、必須です。なぜなら、労働審判は、調停と異なり、話し合いがまとまらなかった場合に、労働審判委員会が(原則として)「労働審判」を下すからです。

使用者側が、弁護士を選任しない場合、使用者側に不利な内容の労働審判が下されるリスクがあります。これは、絶対に避けるべきです。

弁護士の選び方

弁護士の選び方は、個々の使用者の考えや好みによって決まります。したがって、ここでは、参考情報を述べておきます。

①弁護士にも専門性があります。

医者の世界において、外科や内科といった専門分野があるのと同様に、弁護士の世界でも、専門分野があります。労働審判を依頼するのであれば、少なくとも、労働法を専門にしている弁護士の中から、選んだほうが良いでしょう。

②大手法律事務所とブティック型法律事務所は、違います。

大手法律事務所は、いわゆる総合デパートですので、品揃えは豊富です。企業買収から、ファイナンスまで、何でも揃っています。
これに対し、ブティック型法律事務所は、全てが揃っているわけではありません。しかし、ある特定の分野に注力していますので、当該特定の分野が労働法の場合、労働法に限れば、大手法律事務所以上の品質を持っていることがあります。
依頼者側は、担当するであろう弁護士から直接意見を聞くなどして、シビアに弁護士選びをした方が良いでしょう。

答弁書の書き方

答弁書の内容

答弁書は、①事実面、②法律面に分かれます。

①事実面について

事実については、弁護士と依頼者が、会議を行って、「依頼者に有利な事情がないか」を徹底的に洗い出すことが必要です。そして、依頼者に有利な事情を、「わかりやすく」書いていくことが必要です。

裁判所は、使用者と異なり、背景事情などを知らないので、「わかりやすく書く」というのは、非常に重要です。

②法律面について

判例の指摘や、法律解釈については、弁護士が担当します。この点、使用者からみると、労働法を専門にしている弁護士に依頼しておけば、あまり心配する必要はありません。

答弁書の書き方

証拠

概説

書証

Eメール、ファックス、改善指導書、就業規則、解雇通知書、始末書などの書証は、「使用者に有利か否か」という観点から検証し、適宜、提出します。

検証の過程で、「申立人が証拠を偽造しているかもしれない。」と気づく場合がありますし、それ以外にも、思いもよらない事実が判明したりします。

書証の検討は、非常に重要です。

人証

上司、同僚、採用担当者など関係者の陳述書についても、提出した方が良いです。

証拠説明書をどうするか

証拠説明書も忘れずに提出する必要があります。

労働審判委員会(特に、裁判官)は、証拠説明書を重要視している場合があります。

当日の対応

当日、誰を連れて行くか

事案の中で、キーとなる人物を連れて行くことになります。例えば、上司、同僚、部下、採用担当者、社長などです。

労働審判委員会としても、陳述書だけではなく、実際に、会った上で、各種の質問をしていき、心証をとっていきますので、キーパーソンについては連れて行くことになります。

労働審判期日で、審判員からの質問にどう答えるか

これは、ケースバイケースです。

ただ、労働審判を何度もやっていると、「これは、聞かれるだろう。」とか、「ここは、労働審判委員会が興味を持つに違いない。」といったところが、大体、わかります。

使用者としては、担当の弁護士に対し、「どのようなことが聞かれますか。」といった質問をし、事前の打ち合わせをやっておいたほうが良いでしょう。

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